12.11.2009

みぞれ鍋 @TKY

寒い季節になってきたので鍋がとてもおいしい。みぞれ鍋を作った。乾燥しいたけ戻し汁と昆布でだしをとり、大根のおろし汁、酒、みりん、醤油で味を調え、野菜・豚ばら肉・糸こんにゃく・ヨモギ餅を入れ火を通し、最後に大根おろしを上にのせでひと煮立ち、ポン酢と七味で頂いた。すごくうまい。おすすめです。

大根を一本おろすのがとてもとても大変だったのでアップ。

12.10.2009

野菜の自動販売機 @TKY

打ち合わせで西東京市の保谷へ。
まだまだ田園の広がるとてもいい場所。広い空やら、ブルーベリー農園やら、野菜畑やら、駐車場やら。

そんななか野菜の直売所を見つけた。ニンジンと長ネギを売っている。コインロッカーを改造した販売機で、直売所でさえ東京は機械だ。ベニヤの机の上に並べられ、料金の受け渡しは鉄骨の柱にくくりつけられた貯金箱のようなものという地方の野菜直売所の居心地の悪さはここにはない。地方の直売所の居心地の悪さを感じてしまっていたのは私自身人間としてすれてしまっている。
何かから機械に置き換わるときに通底するものがそこには見える。さっくり言うと性善説性悪説という話。もちろん機械は故障をし、メンテナンスが必要であり、期待されたこと以外のことは出来ない。

以前久々にお会いした中学時代の恩師が面白い話をしていた。私は中学時代に形骸化した校則を変えようと運動していた。運動から一年後に身を結んだのだけれど在学中には実現しなかった。お会いしたのはその時に応援してくれていた先生で内幕を話してくれた。「生徒たちの希望をホイホイ聞くとつけあがる」と思っている先生方がいる。つまり子供悪説論者であると。子供は自由にさせるとちゃんとしない、厳しく教育してこそ伸びるとそういう説だ。彼自身は子供善説論者。中学時代のいろいろな先生方の印象とそのバックグラウンド・教育思想を照らし合わせてとても興味深かった。

11.29.2009

紅葉狩り @TKY

最近、くんと気温が下がり、何か本格的な冬になる前に秋を満喫しようと山登りへ。先日食事をしたK氏がその次の日に高尾山に登るということで、触発されて同じ山に。11月も終わりになればすっかり紅葉も進んでいる。イロハモミジの赤はパンチ力がある。
高尾山薬王院宿坊の奥に銭洗弁天のほこらがあり、山がえぐられて洞窟になったよう。奥にあるので参拝客もまばらな中、商売繁盛を願う中国の方(中華街の方?)と一緒になり、狭い祠が一時混雑していた。

地元小田原の周りには丹沢山、大山、箱根外輪山など山々があり、小中学校の秋の遠足は山登りだった。山にありがたみがなく、山登りも魅力的に感じていなかったけど、好みが変わったのか。小田原の友人H氏が遠足で登った山をすべて登りなおそうとしている。なにがあったんだろう?

11.07.2009

水と油 @TKY

雨上がりの路面が濡れている中を整備不良の車が通った後、虹が出来ていた。油が一滴、また一滴と落ちて同心円状に広がり、油の表面で反射した光と油と水の境界面で反射した光が干渉して虹のように見える。本来、水と油という混ざらないものの代名詞で、それぞれが無色透明。この二つが合わさりこのようにたくさんの色をつくりだす。日常の些細な風景ではあるが、自分自身のつくるもののなかで、こんなことを目指している。

ひとつひとつの所作はとるに足らないもの、無色と思われることでも組み合わせることで様々な価値を創出すること。特別ではないことを重ね合わせることで、特別なことをつくりだすこと、そんなことが出来たらいい。

解散してしまったけど、「水と油」という演劇集団があったね。

トワイライト @TKY

f1 2009 最終戦アブダビグランプリの映像を見て、影響を受けてパチリ。
アブダビグランプリはヤス・マリーナ・サーキットでトワイライトレースとして行われた。コースとリゾートが一体的に設計され、上部のホテルにはLEDで建築照明が施されていた。夕刻の自然光がだんだん弱くなっていく中で建築照明が浮かび上がってくる。f1実況のアナウンサーは「すべてを美しく見せるトワイライトゾーン!」と始終叫んでいた。
来年いっぱいのブリヂストンを最後にf1から日本勢が姿を消す。

11.04.2009

デザインウィーク @ TKY

毎年この時期デザインのイベントが東京各地で行われる。外苑総合グランドで行われた東京デザイナーズウィーク2009に行ってきた。デザイントレード展、コンテナ展、学生作品展など行われ、秋の良い気候のなか、賑やかだった。グリーン、エコがテーマになるデザイン作品が多い。
もともとデザインの方向性とエコは親和性が高い。その作品群のなかでデコなものは目を引く。

10.25.2009

展覧会3題 @TKY

既に終了してしまった展覧会ではあるが、「骨」展というものを2009年初夏から初秋にかけて21_21 DESIGN SIGHTでやっていた。デザイナーである山中俊治氏によって集められた、エンジニアリングとデザインの融合の試みによる作品群で、「骨」「骨格」をキーワードに「未来の骨格」を探っていくものだった。
求められる機能・プログラムを具現化するときに形があらわれる。それを支えるものとして、下部構造として、「骨格」がある。または、動物や植物が重力に抗い、生きていくために「骨」がある。自然のものにしても人工物にしても骨格に関しては無駄なものがなくシンプルでとてもきれいだと思うことが多い。そんな側面にスポットを当てた展覧会だった。集められた作品群をこのブログにメモとして残しておくべきかどうか迷う。

2009年10月現在、同じ場所で深澤直人氏と藤井保氏による「見えていない輪郭」展が行われている。先回の展覧会と同様の趣旨と思い、今回も足を運んでみた。
深澤直人氏は様々なもののデザインをしており、現代の日本社会に最も受け容れられている作家のひとりである。いま東急ハンズを始めいろいろな場所の店頭で売られているデザイン家電・雑貨が、その写真とともに見え方・見せ方を提示され、美術館に並べられていた。一人のデザイナーの手による作品群を集めることでデザイン思想を伝えたいということなのだろうか。もちろん彼の作品は嫌いということではなく尊敬する作家のひとりではあるが、展覧会としては2100年頃見たかった。
見えていない輪郭 展 2009.10.16~2010.1.31 火休
11:00~18:00
入場一般1000円

六本木・乃木坂にはたくさんの美術館・ギャラリーがある。その中で建築やデザイン関係の人がよく足を運ぶ、ギャラリー間があって、現在、隈研吾氏の展覧会をやっている。進行中のプロジェクトの模型群で構成されており、一つのプロジェクトの質を高めるために、量の検討をしているという姿勢の垣間見える展示で、そこまで広くはない会場に所狭しと模型が並べられていた。大いに元気をもらった。
隈研吾展 2009.10.15~2009.12.19 日・月・旗日休み
11:00~18:00   入場無料

10.24.2009

Ai Weiwei@RTM

艾未未(Ai Weiwei)という中国人の芸術家がいる。東京でも森美術館で作品の展示が行われていたが、今とても好きな芸術家の一人だ。その彼の展示がミュンヘンでも行われるとの情報を聞きつけ、オープニングに合わせてミュンヘン入りする。東京で見た作品とはまた異なるすばらしい作品群に感動。会場となっているHaus der Kunstという建物の展示空間も広々としていて、彼の作品を際立てる。森美術館にはないダイナミックな展示が実現していた。

なかでももっとも気に入った作品は、上の写真の巨大な部屋一面に敷かれた絨毯。床の石のタイル一枚一枚をすべてカーペットで再現してある。一見本当のタイルと区別がつかないくらい、精巧にヒビやシミまで再現してあるが、立ち入り禁止のサインやロープを使用せずして作品の領域を定めるのに成功しているといえる。知らずに踏み込んで皆はじめて気がつくのだが、その膨大なサイズと精密さに改めて圧倒される。(右の写真の下半分が本物の石のタイルで上半分はカーペットでできている。)

鯉するマドンナ@RTM

ケルンから車で4時間ほど南に進むとストゥットガルト「Stuttgart」という都市があるのだが、そこでちょっと不思議な宿を発見。表からは一見ふつうのドイツらしい民宿なのだが、そこに気になる「鯉」の看板が。(写真左下)

あまりに気になったので、その日の宿はここにした。ロビーも部屋もふつうだったが、裏庭に出てみてビックリ。大きな池に色とりどりの鯉がうじゃうじゃと泳いでいた。それも、かなり立派な鯉ばかり。

そこのご主人らしき人に聞いてみると、なにやらかなりの鯉好きらしく、育てた鯉でいくつもの賞を受賞しているとのこと。いくつもあるトロフィーを見てみると「全日本総合錦鯉品評会 優勝」という文字。何度も日本に鯉と一緒に行っているらしい。中でも一番のお気に入りは日の丸が頭についている「マドンナ」という鯉だとか。たまたま通りかかったドイツの一角でも、こうして日本の文化を誠実に継承している人たちがいるというのは、不思議だけども、とても喜ばしい。ちなみに「マドンナ」は270万円。



Peter Zumthor@RTM

ケルン市内とそこから45分ほど離れた村それぞれにPeter Zumthor氏による建築がある。市内にあるのは「聖コロンバ教会ケルン大司教区美術館, Art Museum Kolumba」といい、古い教会の遺跡を覆うように建てられたもの。もうひとつは「Bruder Klaus Field Chapel」というとても小さなチャペルで、何もない丘の中腹にポツンとたっている。彼による作品を見るのは初めてだったが、どちらからも「静止」した空間を感じた。時間も空気も音もぴたっと止まったような状態。細部まで考え抜かれたディテールと素材の選定による結果だと思う。真空のような状態なのに、空間自体は濃厚で、丁度プールの中を歩いて進むような感じさえした。彼は今年、建築界のノーベル賞ともいわれるプリツカー賞を受賞している。

10.20.2009

MUJI@RTM

今や世界中の主要都市にあり、人気の高い無印良品。海外では「MUJI」の名称で親しまれている。そのMUJIがケルンにもあった。

本来、ブランド化によるコストアップに対抗して、ノーブランドで良いものを安く提供するという信念のもとに作られたものだと理解していたが、海外ではれっきとした一流ブランドとして位置づけられ、値段も日本に比べるとかなり割高に設定されている。

そのせいもあってか近年東京を訪れる外国人の人気観光スポットのひとつに、有楽町の無印良品店舗が上位ランクインしているとのこと。海外のお店では手に入らないものが日本の店舗では多く売っていて、喜ばれるお土産になるのだとか。

かつての浴衣や日本人形、陶芸品のような伝統的なお土産にとってかわり、もし本当に無印良品が日本を表現する良きお土産品として外国人に認識されているとしたら、外国から見る日本や日本人のイメージもまた無印であり、無機質であり、モノトーンであるのだろうか、、。無印で良質、、、案外そうなのかもしれない。


10.15.2009

こづゆ@TKY

会津若松の郷土料理を食べに街中へ。七日町というあたりが町おこしで古い建物の保全や建物のファサードや舗装で雰囲気の創出を図っている。渋川問屋という郷土料理店に入った。そのなかで120年前に建てられた建物で海鮮問屋を営んでいたという。写真のお椀はこづゆといってホタテ貝柱、麩、きくらげ、里芋、干しシイタケなどの汁物で、婚礼などで食べられていたものらしい。上品でノスタルジックな味だ。乾物の出汁がとてもうまい。

会津若松という土地柄、日本海からも太平洋からも遠い場所にあり、海鮮といっても乾物を蝦夷から北前船で運ばれた、干し貝柱、身欠きにしん、干しエビなどなどが郷土料理の材料として今に伝わっている。「菜の花の沖」(司馬遼太郎)が北前船を運営していた高田屋嘉兵衛の話で、ひと時司馬遼太郎にはまった(しばづけ)のでとても興味深く、いただいた。

思い込みの持論ではあるが、王様や殿様が強権だった場所や国は料理が洗練されている。宮廷料理人が政権交代時に天下りしたりして、国全体の料理のレベルが上がっていくのだと思う。会津若松も江戸幕府の親藩、松平家の所領であり、豊かな国だったと想像出来る。

渋川問屋
福島県会津若松市七日町3-28
0242-28-4000

帰りには馬肉と馬刺しを買って帰路についた。馬肉の煮込みでもつくろうと思う。

会津さざえ堂@TKY

会津若松さざえ堂へ。この仏堂は江戸後期1796年に建てられた。補修を重ねているとはいえ建立から200年を超えているとは。外からみると5階か6階建てのように見えるが、二重らせんの形状で、上って行ってもずっと床がつながっている。「上りと下りで人が出会わない」という六角三層である。

普通の形の建物を見てきた眼には、平らな床を歩きなれている体には、やはりすっとは入ってこない建築だ。10年来行きたかった建物でもある。

2重らせんのスロープに沿って西国三十三観音像が安置され、参拝者はこのお堂をお参りすることで三十三観音参りができるという合理的なお堂だったという。また、上りと下りが全く別の通路になっている一方通行の構造により、たくさんの参拝者がすれ違うこと無く安全にお参りができる。歴史的な変遷で観音像は今はもうないが。

平面的には六角形で斜めの床と天井を小割りにされた四辺形にの窓が一連の流れをつくりつなげている。補修によって羽子板金物やボルトなど金物が取り付けられているが、建立当時は釘一本使っていなかったという。

このさざえ堂のある飯盛山は幕末戊辰戦争時に白虎隊が自決した場所で、若くして命を失ったという事実は人の胸をうつようで観光客が絶えない。

北日本・ドライブ・日帰り @TKY

東京から会津若松へドライブに行ってきた。
東北道、磐越道で300km。往復600km。朝8時に出て夜11時に帰るという日帰り。高速道路から紅葉始まりと稲刈り作業の景色が見えた。

10.14.2009

ケルン大聖堂@RTM

ケルンはユネスコ世界遺産でもあるゴシック様式の大聖堂が有名。1248年に建設が始まり、途中しばらく中断があったものの1880年に完成した。外観もすばらしいが、内部は声を失うほどの圧巻。建築自体もすごいが、囲われることで形成されるボイド空間が直接訴えてくるパワーには、自然と神聖なるものを感じてしまう。

細い線が何本も束になったような柱が、異なる高さで分岐しながらボールト状の屋根まで伸びて、全体を支えているのだが、ステンドガラスを通過して上から入ってくる光と合わさって、空間全体に光線が降り注いでいるような錯覚が起きる。建築/空間のもつ人を揺らがす力を改めて実感した。

わんこビール@RTM

ドイツ・ケルン(Koln)にはロッテルダムから車で約2、3時間でいける距離にある。午後に出発して、夕食の時間に到着。適当に入ったレストランはいかにもドイツらしいローカルな場所で、メニューもほとんどがソーセージやスニツェル(トンカツのようなもの)にジャガイモなどが加わったもの。
ビールは大きなジョッキを想像していたが、逆にかなり小さめのグラスに入って出てくる。そしてグラスが空くと、勝手に新しいグラスと交換され、知らず知らずの間にかなり飲んでしまう。隣のテーブルを見ると、いくつかのグラスの上にコースターが乗っており、聞くとこれ以上飲まないという目印だとか。なんか日本のわんこそばのような感じだ。

西ヨーロッパ・ドライブ旅行@RTM

2週間の有給を取って西ヨーロッパを車で回る旅に出た。先週の金曜日(9日)に出発して、ドイツのケルン、ストゥットガルト、ミュンヘンを回り、昨日はスイス・チューリッヒ、今夜はバルスというアルプス山脈内の小さい村に泊まっている。主に建築家ピーター・ズントーと、ル・コルビュジェの作品を見つつ、友人を訪ねて回ろうと計画。この後はイタリア・ミラノとジェノバ、南仏の地中海沿いをマルセイユまで進んだら、リヨンへ向けて北上し、またスイスに戻ってジュネーブ、ルザーン、バーゼル。最後はベルギー辺りを通ってオランダ入りする予定。レンタカーのアウディA3にはかなり頑張ってもらうことになりそうです。ある程度のタイムラグが生じますが、旅の話を今後何回かに分けて紹介する予定です。

10.03.2009

秋祭り @TKY

朝街を歩いていると、街灯に取り付けられたスピーカーからお囃子の音が聞こえてくる。秋祭りの季節らしい。夕方には近くの神社の境内で出店が出ていた。
バス通りから一本入った裏道に町内会の人たちがはっぴを着て集まっていて、共同の倉庫の扉が開いていた。神輿があった。

祭りというと出店、焼きそばというイメージしかないけれど、村があり、人の集まりがあったと再び知らされる。そろそろ町内会に入らなければならないのかな。

今バーや飲み屋で出来たコミュニティーが町内会の代わりをしているのだろうか。

10.01.2009

ジャズバー@RTM

Dizzy'sというジャズバーがある。仕事のあと久しぶりに行ってきたらジャムセッションのライブが行われていた。プロやら学生やらが次々と入れ替わりながら一つの音楽が続いていく。フリースタイルといえば良いのか、一定のリズムを背景に各楽器が好きなように音の層を加えてゆく。トロンボーン、トランペット、サックス、ドラム、ベース、キーボード、コンゴ、カウベルなどなど。そしていて、どうやって決めているのかわからないけども、ある時点で突然バラバラだった音がひとつになったり、同時に音を止めたりと、息がピッタリと合っている。例えがよいかわからないけども、なんとなく魚の群れをみているような感じ。一定の波の下、それぞれ好きなように泳いでいるときもあれば、ある瞬間とつぜんひとつの固まりになって伸びたり縮んだりする。そしてまたパッと散る。

聞いてる方も楽しいが、ジャズは演奏している側のほうがもっと楽しんでいるようにみえる。ずっと昔、ほんの一瞬だけトランペットを弾いていたことがある。もし今も続けていて、フラッとこういったステージに参加出来たらさぞ楽しいのだろうなと思いながら聞いていた。

第一次世界大戦終戦のころから徐々にヨーロッパに持ち込まれたジャズだが、そのファンの層はヨーロッパでも根強く、毎年ロッテルダムで夏に行われる北海ジャズフェスティバルにはヨーロッパ中のジャズファンたちが集まる。

9.28.2009

日本映画祭@RTM


4、5年ほど前からロッテルダムでは毎年カメラ・ジャパンという日本映画際が行われている。こちらの設計事務所に勤務する日本人とオランダ人二人によって始められたもので、毎年少しずつ規模が大きくなっている。去年からはアムステルダムでも行われるようになり、開催期間中には映画以外にも日本人によるモダンダンス、DJ、アート、料理、建築といったあらゆる分野のパフォーマンスやレクチャーも行われている。

毎年参加していたので今では主催者の二人とも顔見知りとなり、今回のおすすめ映画やパフォーマンスを事前に教えていただく。例年は仕事が忙しくてあまり時間がとれないのだが、今年はちょうど暇で金、土、日と連日見ることが出来た。見た映画は、Li Ying による「靖国」、Gondry他3名の監督による「トーキョー!」、テッコンキンクリートでおなじみのMichael Ariasによる「ヘブンズドア」、吉浦康裕による「イブの時間」。

偶然ではあったものの、最後の「イブの時間」というアニメーション以外はすべて外国人の監督によるものとなった。中でも最初に見た「靖国」は印象に残った。2007年に製作されたこの映画は監督自らによって10年もの期間をかけて靖国神社内で撮影したあらゆる映像を集めたナレーションの無いドキュメンタリーとなっている。香港映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞したこの映画だが、中国人による靖国神社の映画ということと、文化庁所管の独立行政法人から助成金が出されているということなどから、日本ではかなりの論議を巻き起こし、一時は右翼団体の抗議運動によって日本国内での上映は中止となりかけたほどだ。

内容はここで詳しくは説明しないけども、個人的な感想としては靖国神社という場所とその意味するところをあらゆる人間模様を通じて巧みに表現されたもので、どちらか一方へ偏るということのない中立的な視点でありながら靖国問題の神髄を突いた良く出来た作品だと思った。とてもショックだったのは、靖国参拝を反対する青年たちと彼らを「中国へ帰れ」と罵倒して殴りつける日本人たちの姿を納めたシーン。実際のところ青年たちは日本人であった。中国人であれば良いという話ではもちろんない。しかし、同じ日本人同士が、しかも普通の一般人同士が、考え方の違いから血を流し合う姿を目の当たりにした時、なにか底知れない恐怖を心の底に感じてしまった。なにか自分の中奥底に腐敗した黒くドロドロしたものが潜んでいるような錯覚。

毎年夏場になると平和、平和と耳にすることが多くなる。が、平和というのは結果論である。世の中には平和を求めることで流される血が跡をたたない。考え方や信仰の違いが存在するのは当たり前なことだが、異なる考えを持つ相手に自分の考えを強要することから争いは起こる。今回この映画を見て、靖国の問題どうこうということよりも、この監督のとったスタンスそのものが、争いが耐えない世界に対するひとつの答えを提示しているような気がした。

9.24.2009

自転車@RTM

今から10年ほど前までは自転車といえば中国の大通りを想像したが、それも最近では大量の自動車にすっかり取って代わってしまった。一般的にはあまり知られていないかもしれないが、実は自転車大国はここオランダである。オランダでは人口数と国内の自転車の数がほぼ等しく、自転車保有率は世界一とされている。これにはいくつかの理由があるのだろうが、まず思いつくのは国土全体がほぼ真っ平らという利点だ。そして、国内ほとんどの道路が平行して自転車専用道路を設けているということも自転車普及に大きく貢献しているだろう。(自転車道の総延長は約1万5000キロにものぼる。)また、各都市がコンパクトにまとまっているというのも大切な条件なのかもしれない。

この自転車の数は現在も着実に増加傾向にあり、人口約1600万人に対して毎年170万台の自転車が買われているというデータがある。また、その一方で年間約75万台が盗難の被害にあっているとのこと。これは一日に2055台の自転車が九州ほどの面積内で盗まれているという計算になる。ちなみに日本全国の年間自転車盗難届け数は約43万台なので、いかにオランダでの盗難率が高いかがわかるだろう。オランダに来てから4年と3ヶ月ほど経つが、その期間内で僕が所有した自転車の数は7台で、そのうちの5台が盗難の被害にあっているから上記のデータは個人的に立証済みだ。

右の写真が典型的なオランダの自転車である。基本的に色は黒で、フレームがごっつい。ハンドルの手前と後輪の泥よけにライトが付いているが、大抵の場合は点かない。自転車を所有する上で、まず一番大切なのは鍵だ。丈夫な鍵ほどよいのは当たり前なのだが、重要なのは必ず2種類以上の鍵を装着することである。これは、自転車盗難を専門に行っている方々の多くはそれぞれ外すのが得意な鍵の種類が特定されているためであり、複数の種類の鍵を外すよりは得意な一つの鍵しかない自転車を狙ったほうが効果的だからである。もちろんそのほうが作業の時間も短時間で済む。基本的に盗まれた自転車はすぐに路上で売られるのだが、その際のロッテルダムでの相場は約8ユーロから15ユーロといった程度だ。中古でもちゃんとした自転車屋から買おうとすれば70〜100ユーロはするので、盗難自転車の需要が一向に減らないのも納得してしまう。自分のを盗まれたら、他人のを買い取る、という一つの悪循環システムが成立してしまっているのだ。

世界中で省エネやエコが推奨されている現在、車に替わる交通手段としての自転車は改めて注目を集めている。パリなどの大都市でも乗り捨て可能な自転車レンタルシステムが登場し成功を納めている今日、オランダのように国全体で自転車利用者に対する整備がすでに整っていることは、とてもすばらしいことだと思う。盗難が後を絶たないという悪い一面があるにせよ、自転車の利用者が普及しているこの国は今後ますます環境問題と正面から向き合わなくてはならない都市像の良き例として重要な位置に立つこととなるだろう。盗難数ではオランダより少ない日本だが、一方で年間放置自転車撤去数はなんと250万台だという。自転車を大切にすることの先にある意味/可能性をここに来てもう一度日本人は考えるべきだと思う。(左上の写真は子供のための席が装着されたもの。子連れに人気があるらしい)

9.22.2009

試合観戦と水上タクシー@RTM

天気の良い日曜日の午後、久しぶりにまたサッカー観戦に行ってきた。ロッテルダム・フェイエノールト本拠地にてアイントホーフェン・PSVを迎え撃つ。まだシーズンが始まって間もないが、現時点での一位がPSV、2位がフェイエという状況での今回の試合は重要な一戦だ。

座席はかなりピッチに近い場所に陣取り、ビールとフライドポテトを交互に口に運びながらの応援。前半早々にPSVに2点を入れられる。その後1点を返したが、すぐさま3点目を入れられ、そのまま1−3で試合終了。。。良い日光浴が出来たと開き直る。

ロッテルダム・スタジアムは中心地よりやや南のはずれに位置している。行きはトラムにのって20分ほどかかったが、帰りは友だちの提案で水上タクシーを呼ぶことに。電話で最寄りの運河または川沿いの乗り場を言うとすぐに迎えに来てくれる。値段はけっこう割高なので、大勢で利用することをお進めするが、なんといっても早い。家の近くの運河まで10分足らずで着いてしまった。かなり高速のモーターボートを使用しているため、スリリングも満点。港町ならではの愉快な乗り物に久々にはしゃいだ。

日本食材@RTM

日本食ブームなのか、最近家の近くの普通のスーパーでもあらゆる日本食材が手に入るようになりつつある。もともと中華系および韓国系のお店に行けばかなりの日本食が手に入るのだが、価格が高いことや家から離れているという理由で今まであまり利用していない。そういうこともあって、日頃から利用する地元のスーパーでも日本の食材が多少でも手に入ると嬉しいものである。

今日は久しぶりに会った元同僚のために夕食の買い出しにでて、写真の椎茸と西洋マッシュルームを買ってきた。椎茸はけっこう立派な生のもので、約7本(100g)で1.8ユーロ。日本円にして240円くらいなので、やはり倍くらいはしてるだろうか。一方マッシュルームのほうは大小20本ほど(250g)で0.9ユーロ。120円くらいだから格段に安い。パスタにでもシチューにでもなんでも使える上、日持ちが良いので買い物に行くと必ず買ってしまう。で、いざ何を作ろうかと色々思い描いていた際に、ドイツ・ハンブルグが敷地の仕事の話を友人がしてきたため、あっさりとハンバーグに決定。上海生まれのオーストリア人の彼女はハンバーグを食べたことがないというので、味がどうなろうと「これがハンバーグなのだ」と言い切ることにして気楽に調理をはじめる。

パン粉がないのでフランスパンを崩して使用。キノコは椎茸にするかマッシュルームにするか迷ったが、せっかくの立派な椎茸を細かく刻むことに抵抗を感じたので安いほうを使用。フライパンで焼いた際に出た肉汁とケチャップ、ブルドッグソースを混ぜたものでデミグラスっぽいソースをかけて出来上がり。今晩はご飯ではなくてパンなので、野菜スープも添えた。これはジャガイモ、赤ピーマン、インゲン豆、タマネギとズッキーニを煮込んだものに野菜ベースのブイヨンの素を少々加えた簡単なもの。友人は両方ともおいしいと言ってくれたが、最終的にスープの方が評価が高かったことに少しガックリする。いやいや、「これがハンバーグ」というものなのですからと念を押した。。

9.20.2009

ランドスタッド@RTM

オランダの都市といえばまず有名なのがアムステルダム。これは商業の中心としてオランダ国内で一番の人口(約75万)を誇る。次に大きいのがロッテルダムで人口58万人。工業都市として知られる。政治の中心としての役目を持つのがデン・ハーグで人口48万。そして4番目となるのがユトレヒトである。人口約30万人のこの都市は昔から宗教の中心とされている。これらの都市はちょうど円を描くように配置されており、流通の拠点であるスキポール空港地区を含めてひとつの共同体である「ランドスタッド」という名称で呼ばれている。つまり一つの中心的大都市を形成するのではなく、役割を明確に隔てた小都市を農業を囲むように配置し、高速道路および列車を介して他の都市群と連結することで国家全体のバランスを保っているのである。

Witte de With Straat@RTM


自宅前の道でまたもフェスティバルがあった。なんのフェスティバルなのかは最後までよくわからなかったのだが、道のあらゆる場所で演劇舞台やコンサート、アートインスタレーションが行われていた。

この道、名前はWitte de With Straatと言いロッテルダム市内では数少ない栄えた通りの一つだ。多くのパブの他現代美術館、写真美術館、アートギャラリー、お洒落雑貨や洋服のお店などが軒を連ねている。右の写真にあるバーの上が現在住んでいる場所。部屋の窓は通りの裏側に面しているため、通りの様子は中からはわからないが、すぐしたがバーなので週末となると明け方まで音楽の低音が響いていて眠れないこともしばしば。

バーの名前は「OPA」といいオランダ語で「おじいちゃん」という意味。勤務先が「OMA」(Office for Metropolitan Architectureの訳)で「おばあちゃん」という意味なので、基本的にロッテルダムでの僕の生活はこのおじいちゃんとおばあちゃんの間を行き来していることになる。


フェスティバルと言えば恒例のゴミの話となるのだが、今回も例外なく綺麗に散らかしてありました。ちなみに主なゴミとなっているのは透明のプラスチックカップとそれを6つまでまとめて運ぶためのボール紙で出来たドリンクホルダー。あとは缶カラや瓶、タバコの箱などが少々といったところだろうか。通常グラスで出されるビールなどのドリンクがこういったイベントとなると使い捨てのプラスチックカップとなるため、通り一面あっという間にこのキラキラ光るゴミで埋め尽くされる。この日は明け方4時頃までいたのだが、掃除が開始される気配もないまま就寝。翌朝10時頃に起きた時にはすでに跡形もなく片付いていた。いつかこの謎に包まれた掃除の様子を解明してみたいという願望がまたすこし強くなった。

ナインチェ@RTM

TKYによるビッグイシューについての投稿で表紙を飾っていたミッフィーちゃん、今や世界中の親子に愛されているオランダ生まれのキャラクターだ。ディック・ブルーナ氏という絵本作家によって1950年代から描き続けられているシリーズで、今や世界40カ国語に訳されている。日本では「ミッフィー」、または「うさこちゃん」としてしられているこのキャラクターだが、本場オランダでは「ナインチェ」(訳:こうさぎちゃん)という名称で親しまれている。

ブルーナ氏は現在も健在でオランダ・ユトレヒト市のスタジオで日々製作に携わっているとのこと。このユトレヒトにはミッフィーミュージアムがあり、ミッフィーやブルーナ氏にちなんだ資料や作品を見学することができる。ちなみにここでのおすすめはブルーナ氏の製作模様と奥さんによる作品にたいするダメだしの様子を納めたビデオ映像。

ブルーナ氏はもともと書籍
装丁などを主に手がけていたグラフィックデザイナーで、1920年代オランダで盛んだった抽象美術運動「デ・スティル」の影響を強く受けた一人であった。当時は写実的な挿絵などが主流であった中、ブルーナ氏は抽象化した線と原色を用いた手法を使って数々の独自のデザインを生み出していった。同運動の立役者でもあったピエート・モンドリアンの絵画はあまりにも有名だが、このように子供向けの絵本にまで早くからデザインの極めとも言える要素が浸透していることに、改めてオランダという国のデザインに対する奥深さを感じてしまう。(ちなみにミッフィーおよびブルーナ氏について詳しく知りたい方はこちらへ。)

9.14.2009

ビッグイシュー @TKY

ビッグイシューを久しぶりに買った。

ターミナル駅の人通りの多い場所の脇で雑誌を売っている人を見かけないだろうか。それが「ビッグイシュー」である。今回ミッフィーの表紙が見えたので買った。

この雑誌は、ホームレスの人の手売りが主で、日本のいわゆる主要な販売経路にはのっていない。もちろん、コンビニや本屋では売っていない。主要な販路にのっていないということから広告がなく、しがらみもないことから記事もなかなか面白い。今回は、ミッフィーと爆めしと農業を特集。300円。

ビッグイシューは、ホームレスの人に仕事を提供し自立を応援するために1991年イギリスで創刊された。日本版は2003年からだ。何かをきっかけに家を失った人が就職するには住所が必要で、家を借りるにはまとまった現金が必要。雑誌300円に内の160円が販売者の収入になるということだ。

この雑誌の社会的な試みはとても興味深い。また新宿で学生時代を送った者としてホームレスの人たちは近い存在で、よく、その生きていく様を写真に撮らせてもらっていた。世代的なものかわからないが、社会的に大きな失敗をして、誰も頼る人がいなくなってしまったとき家を失う恐怖は、常にある。セーフティネットを多層に作り出すこと社会的に必要だと思うし、社会の一員として今自分の範囲で出来ることを考えていきたい。

最新号はsuperflyが表紙らしい。また買わなきゃ。

ビッグイシューホームページ

9.13.2009

日光東照宮 @TKY

日光へ行く。

陽明門をはじめ、社殿群は、あらためて凄まじい。建物の形をした工芸品、美術品だ。ここに訪れたのは実に小学校の修学旅行以来だが、その時は「へえ、きれいだな」という感想ぐらいだっただろうか。建築設計を生業として、この場所を再訪し、またこの凄まじさに気が遠くなる。しかも、この贅を尽くした建造物はわずか一年半でつくったという。
今同じことをするとなると、図面を引くだけで5年、10年なんて簡単に過ぎてしまいそうで、そこからつくるとなると何十年もかかるようなそんな仕事になる気がする。

奥社入口にひっそりと護る眠り猫。江戸時代、職人がスーパ-スターだったというが、この眠り猫を彫った大工、左甚五郎もその一人。今で言う、イチローやマイケル・ジャクソンのような人だろうか。そんなスターっぷりが落語で伝わっている。「竹の水仙」「三井の大黒」「ねずみ」など、左甚五郎の伝説を噺にしたものがいくつも高座にかけられている。左甚五郎の彫刻作品を細川越中守が大金を積んで所望したはなしなどなど。

江戸時代、現在、自分の子供時代。ちょっとしたタイムトラベルをしたような時間だった。大人の修学旅行もなかなかいい。友人が小学校時代に遠足で登った山を登り直していると言っていたが同じ感覚だろうか。

富弘美術館 @TKY

ロッテルダムから一時帰国中の建築家KGO氏ともに群馬・栃木建築ツアーへ、富弘美術館・足尾銅山・日光輪王寺をまわる。当初現代建築をリストアップしていたが、お互い趣味が変わり歴史遺産、産業遺産を見ることに。

富弘美術館はヨコミゾマコト氏による設計。
平面に円形を並べ、展示空間を作り上げている。円形を並べ、なぞることで、絵の展示がスムーズに見られる。展示と円形の空間の親和性がとてもよく、空間としても居心地が良かった。板、ボードなど規格品を無駄なく、経済的に使うと部屋は四角になる。供給側の論理ではなく、利用者の論理に立った、建築空間に対しての新しい挑戦・提案である。
円形の集合体としての建築であるが、並べられた円それぞれに性格を持たせたいという設計者の意図が感じられた。コンセプトと建築の空間表現がとても素晴らしかったが、設備の納め方と材料の使い方に難があるような気がした。一つ一つの円の空間の床・壁・天井がすべて異なる素材が使われていて、円の数x3(床・壁・天井)というたくさんの素材のサンプル集のようになってしまっていた。また、空調の床吹き出し口や屋内消火栓などがとってつけたようで目立ってしまっていて、とても気になってしまった。純粋に建築表現を追い求めるのか、純粋さを捨ててでも詳細をきれいに納めることに尽力するのか、その分かれ道を見た気がした。
富弘美術館
am9~pm5
〒376-0302 群馬県みどり市東町草木86
tel 0277-95-6333

建築の構造・詳細設計は「ディテール166」彰国社が詳しい。

9.12.2009

ライブハウス @TKY

友人のバンドを聞きに新宿のライブハウスへ。

インストゥルメンタルバンド3組、ヒップホップ1組、+ライブペイントで4時間半というもりだくさん。

ポストロックというのか、ドラムンベースというのか、がりがりとした爆音の中、とてもゆっくりとした時間を過ごさせてもらった。

「音楽に嫉妬している」と言っていた友人の絵描きが今日来ていた。
この表現はなかなかかっこいい。
「建築は凍れる音楽」という昔の誰かが言っていた表現も好きだ。

新しい音楽の表現を模索している彼らを心から応援したい。