この自転車の数は現在も着実に増加傾向にあり、人口約1600万人に対して毎年170万台の自転車が買われているというデータがある。また、その一方で年間約75万台が盗難の被害にあっているとのこと。これは一日に2055台の自転車が九州ほどの面積内で盗まれているという計算になる。ちなみに日本全国の年間自転車盗難届け数は約43万台なので、いかにオランダでの盗難率が高いかがわかるだろう。オランダに来てから4年と3ヶ月ほど経つが、その期間内で僕が所有した自転車の数は7台で、そのうちの5台が盗難の被害にあっているから上記のデータは個人的に立証済みだ。
右の写真が典型的なオランダの自転車である。基本的に色は黒で、フレームがごっつい。ハンドルの手前と後輪の泥よけにライトが付いているが、大抵の場合は点かない。自転車を所有する上で、まず一番大切なのは鍵だ。丈夫な鍵ほどよいのは当たり前なのだが、重要なのは必ず2種類以上の鍵を装着することである。これは、自転車盗難を専門に行っている方々の多くはそれぞれ外すのが得意な鍵の種類が特定されているためであり、複数の種類の鍵を外すよりは得意な一つの鍵しかない自転車を狙ったほうが効果的だからである。もちろんそのほうが作業の時間も短時間で済む。基本的に盗まれた自転車はすぐに路上で売られるのだが、その際のロッテルダムでの相場は約8ユーロから15ユーロといった程度だ。中古でもちゃんとした自転車屋から買おうとすれば70〜100ユーロはするので、盗難自転車の需要が一向に減らないのも納得してしまう。自分のを盗まれたら、他人のを買い取る、という一つの悪循環システムが成立してしまっているのだ。
世界中で省エネやエコが推奨されている現在、車に替わる交通手段としての自転車は改めて注目を集めている。パリなどの大都市でも乗り捨て可能な自転車レンタルシステムが登場し成功を納めている今日、オランダのように国全体で自転車利用者に対する整備がすでに整っていることは、とてもすばらしいことだと思う。盗難が後を絶たないという悪い一面があるにせよ、自転車の利用者が普及しているこの国は今後ますます環境問題と正面から向き合わなくてはならない都市像の良き例として重要な位置に立つこととなるだろう。盗難数ではオランダより少ない日本だが、一方で年間放置自転車撤去数はなんと250万台だという。自転車を大切にすることの先にある意味/可能性をここに来てもう一度日本人は考えるべきだと思う。(左上の写真は子供のための席が装着されたもの。子連れに人気があるらしい)
日本でも公共自転車システムの実験を10月から11月末まで二ヶ月間、丸の内で行われるようだ。環境省、三菱地所などによる試み。初回登録料1000円、30分無料、駐輪ポート5か所、計50台。広がっていくのだろうか?
返信削除「公共利用」つながりで、スリーエフとミニストップがカーシェアリングを手がける日本カーシェアリングと提携して、コンビニエンスストアの店舗駐車場を利用したカーシェアリングサービスを10月1日から開始するとのこと。
返信削除店舗数の多いコンビニを拠点にカーシェアリング事業を展開することで需要が一気に拡大する可能性があると報道では伝えている。
入会金が3150円、30分毎に800円(7:00~21:00)・500円(21:00~7:00)、6時間パックで6200円。
当初は都市郊外の5店舗のみからの開始となる。レンタカーショップの多い都市部での需要は小さいと見込んでいるのだろう。むしろ都市部では「公共自転車システム」の方が受け入れられそうですね。