10.25.2009

展覧会3題 @TKY

既に終了してしまった展覧会ではあるが、「骨」展というものを2009年初夏から初秋にかけて21_21 DESIGN SIGHTでやっていた。デザイナーである山中俊治氏によって集められた、エンジニアリングとデザインの融合の試みによる作品群で、「骨」「骨格」をキーワードに「未来の骨格」を探っていくものだった。
求められる機能・プログラムを具現化するときに形があらわれる。それを支えるものとして、下部構造として、「骨格」がある。または、動物や植物が重力に抗い、生きていくために「骨」がある。自然のものにしても人工物にしても骨格に関しては無駄なものがなくシンプルでとてもきれいだと思うことが多い。そんな側面にスポットを当てた展覧会だった。集められた作品群をこのブログにメモとして残しておくべきかどうか迷う。

2009年10月現在、同じ場所で深澤直人氏と藤井保氏による「見えていない輪郭」展が行われている。先回の展覧会と同様の趣旨と思い、今回も足を運んでみた。
深澤直人氏は様々なもののデザインをしており、現代の日本社会に最も受け容れられている作家のひとりである。いま東急ハンズを始めいろいろな場所の店頭で売られているデザイン家電・雑貨が、その写真とともに見え方・見せ方を提示され、美術館に並べられていた。一人のデザイナーの手による作品群を集めることでデザイン思想を伝えたいということなのだろうか。もちろん彼の作品は嫌いということではなく尊敬する作家のひとりではあるが、展覧会としては2100年頃見たかった。
見えていない輪郭 展 2009.10.16~2010.1.31 火休
11:00~18:00
入場一般1000円

六本木・乃木坂にはたくさんの美術館・ギャラリーがある。その中で建築やデザイン関係の人がよく足を運ぶ、ギャラリー間があって、現在、隈研吾氏の展覧会をやっている。進行中のプロジェクトの模型群で構成されており、一つのプロジェクトの質を高めるために、量の検討をしているという姿勢の垣間見える展示で、そこまで広くはない会場に所狭しと模型が並べられていた。大いに元気をもらった。
隈研吾展 2009.10.15~2009.12.19 日・月・旗日休み
11:00~18:00   入場無料

10.24.2009

Ai Weiwei@RTM

艾未未(Ai Weiwei)という中国人の芸術家がいる。東京でも森美術館で作品の展示が行われていたが、今とても好きな芸術家の一人だ。その彼の展示がミュンヘンでも行われるとの情報を聞きつけ、オープニングに合わせてミュンヘン入りする。東京で見た作品とはまた異なるすばらしい作品群に感動。会場となっているHaus der Kunstという建物の展示空間も広々としていて、彼の作品を際立てる。森美術館にはないダイナミックな展示が実現していた。

なかでももっとも気に入った作品は、上の写真の巨大な部屋一面に敷かれた絨毯。床の石のタイル一枚一枚をすべてカーペットで再現してある。一見本当のタイルと区別がつかないくらい、精巧にヒビやシミまで再現してあるが、立ち入り禁止のサインやロープを使用せずして作品の領域を定めるのに成功しているといえる。知らずに踏み込んで皆はじめて気がつくのだが、その膨大なサイズと精密さに改めて圧倒される。(右の写真の下半分が本物の石のタイルで上半分はカーペットでできている。)

鯉するマドンナ@RTM

ケルンから車で4時間ほど南に進むとストゥットガルト「Stuttgart」という都市があるのだが、そこでちょっと不思議な宿を発見。表からは一見ふつうのドイツらしい民宿なのだが、そこに気になる「鯉」の看板が。(写真左下)

あまりに気になったので、その日の宿はここにした。ロビーも部屋もふつうだったが、裏庭に出てみてビックリ。大きな池に色とりどりの鯉がうじゃうじゃと泳いでいた。それも、かなり立派な鯉ばかり。

そこのご主人らしき人に聞いてみると、なにやらかなりの鯉好きらしく、育てた鯉でいくつもの賞を受賞しているとのこと。いくつもあるトロフィーを見てみると「全日本総合錦鯉品評会 優勝」という文字。何度も日本に鯉と一緒に行っているらしい。中でも一番のお気に入りは日の丸が頭についている「マドンナ」という鯉だとか。たまたま通りかかったドイツの一角でも、こうして日本の文化を誠実に継承している人たちがいるというのは、不思議だけども、とても喜ばしい。ちなみに「マドンナ」は270万円。



Peter Zumthor@RTM

ケルン市内とそこから45分ほど離れた村それぞれにPeter Zumthor氏による建築がある。市内にあるのは「聖コロンバ教会ケルン大司教区美術館, Art Museum Kolumba」といい、古い教会の遺跡を覆うように建てられたもの。もうひとつは「Bruder Klaus Field Chapel」というとても小さなチャペルで、何もない丘の中腹にポツンとたっている。彼による作品を見るのは初めてだったが、どちらからも「静止」した空間を感じた。時間も空気も音もぴたっと止まったような状態。細部まで考え抜かれたディテールと素材の選定による結果だと思う。真空のような状態なのに、空間自体は濃厚で、丁度プールの中を歩いて進むような感じさえした。彼は今年、建築界のノーベル賞ともいわれるプリツカー賞を受賞している。

10.20.2009

MUJI@RTM

今や世界中の主要都市にあり、人気の高い無印良品。海外では「MUJI」の名称で親しまれている。そのMUJIがケルンにもあった。

本来、ブランド化によるコストアップに対抗して、ノーブランドで良いものを安く提供するという信念のもとに作られたものだと理解していたが、海外ではれっきとした一流ブランドとして位置づけられ、値段も日本に比べるとかなり割高に設定されている。

そのせいもあってか近年東京を訪れる外国人の人気観光スポットのひとつに、有楽町の無印良品店舗が上位ランクインしているとのこと。海外のお店では手に入らないものが日本の店舗では多く売っていて、喜ばれるお土産になるのだとか。

かつての浴衣や日本人形、陶芸品のような伝統的なお土産にとってかわり、もし本当に無印良品が日本を表現する良きお土産品として外国人に認識されているとしたら、外国から見る日本や日本人のイメージもまた無印であり、無機質であり、モノトーンであるのだろうか、、。無印で良質、、、案外そうなのかもしれない。


10.15.2009

こづゆ@TKY

会津若松の郷土料理を食べに街中へ。七日町というあたりが町おこしで古い建物の保全や建物のファサードや舗装で雰囲気の創出を図っている。渋川問屋という郷土料理店に入った。そのなかで120年前に建てられた建物で海鮮問屋を営んでいたという。写真のお椀はこづゆといってホタテ貝柱、麩、きくらげ、里芋、干しシイタケなどの汁物で、婚礼などで食べられていたものらしい。上品でノスタルジックな味だ。乾物の出汁がとてもうまい。

会津若松という土地柄、日本海からも太平洋からも遠い場所にあり、海鮮といっても乾物を蝦夷から北前船で運ばれた、干し貝柱、身欠きにしん、干しエビなどなどが郷土料理の材料として今に伝わっている。「菜の花の沖」(司馬遼太郎)が北前船を運営していた高田屋嘉兵衛の話で、ひと時司馬遼太郎にはまった(しばづけ)のでとても興味深く、いただいた。

思い込みの持論ではあるが、王様や殿様が強権だった場所や国は料理が洗練されている。宮廷料理人が政権交代時に天下りしたりして、国全体の料理のレベルが上がっていくのだと思う。会津若松も江戸幕府の親藩、松平家の所領であり、豊かな国だったと想像出来る。

渋川問屋
福島県会津若松市七日町3-28
0242-28-4000

帰りには馬肉と馬刺しを買って帰路についた。馬肉の煮込みでもつくろうと思う。

会津さざえ堂@TKY

会津若松さざえ堂へ。この仏堂は江戸後期1796年に建てられた。補修を重ねているとはいえ建立から200年を超えているとは。外からみると5階か6階建てのように見えるが、二重らせんの形状で、上って行ってもずっと床がつながっている。「上りと下りで人が出会わない」という六角三層である。

普通の形の建物を見てきた眼には、平らな床を歩きなれている体には、やはりすっとは入ってこない建築だ。10年来行きたかった建物でもある。

2重らせんのスロープに沿って西国三十三観音像が安置され、参拝者はこのお堂をお参りすることで三十三観音参りができるという合理的なお堂だったという。また、上りと下りが全く別の通路になっている一方通行の構造により、たくさんの参拝者がすれ違うこと無く安全にお参りができる。歴史的な変遷で観音像は今はもうないが。

平面的には六角形で斜めの床と天井を小割りにされた四辺形にの窓が一連の流れをつくりつなげている。補修によって羽子板金物やボルトなど金物が取り付けられているが、建立当時は釘一本使っていなかったという。

このさざえ堂のある飯盛山は幕末戊辰戦争時に白虎隊が自決した場所で、若くして命を失ったという事実は人の胸をうつようで観光客が絶えない。

北日本・ドライブ・日帰り @TKY

東京から会津若松へドライブに行ってきた。
東北道、磐越道で300km。往復600km。朝8時に出て夜11時に帰るという日帰り。高速道路から紅葉始まりと稲刈り作業の景色が見えた。

10.14.2009

ケルン大聖堂@RTM

ケルンはユネスコ世界遺産でもあるゴシック様式の大聖堂が有名。1248年に建設が始まり、途中しばらく中断があったものの1880年に完成した。外観もすばらしいが、内部は声を失うほどの圧巻。建築自体もすごいが、囲われることで形成されるボイド空間が直接訴えてくるパワーには、自然と神聖なるものを感じてしまう。

細い線が何本も束になったような柱が、異なる高さで分岐しながらボールト状の屋根まで伸びて、全体を支えているのだが、ステンドガラスを通過して上から入ってくる光と合わさって、空間全体に光線が降り注いでいるような錯覚が起きる。建築/空間のもつ人を揺らがす力を改めて実感した。

わんこビール@RTM

ドイツ・ケルン(Koln)にはロッテルダムから車で約2、3時間でいける距離にある。午後に出発して、夕食の時間に到着。適当に入ったレストランはいかにもドイツらしいローカルな場所で、メニューもほとんどがソーセージやスニツェル(トンカツのようなもの)にジャガイモなどが加わったもの。
ビールは大きなジョッキを想像していたが、逆にかなり小さめのグラスに入って出てくる。そしてグラスが空くと、勝手に新しいグラスと交換され、知らず知らずの間にかなり飲んでしまう。隣のテーブルを見ると、いくつかのグラスの上にコースターが乗っており、聞くとこれ以上飲まないという目印だとか。なんか日本のわんこそばのような感じだ。

西ヨーロッパ・ドライブ旅行@RTM

2週間の有給を取って西ヨーロッパを車で回る旅に出た。先週の金曜日(9日)に出発して、ドイツのケルン、ストゥットガルト、ミュンヘンを回り、昨日はスイス・チューリッヒ、今夜はバルスというアルプス山脈内の小さい村に泊まっている。主に建築家ピーター・ズントーと、ル・コルビュジェの作品を見つつ、友人を訪ねて回ろうと計画。この後はイタリア・ミラノとジェノバ、南仏の地中海沿いをマルセイユまで進んだら、リヨンへ向けて北上し、またスイスに戻ってジュネーブ、ルザーン、バーゼル。最後はベルギー辺りを通ってオランダ入りする予定。レンタカーのアウディA3にはかなり頑張ってもらうことになりそうです。ある程度のタイムラグが生じますが、旅の話を今後何回かに分けて紹介する予定です。

10.03.2009

秋祭り @TKY

朝街を歩いていると、街灯に取り付けられたスピーカーからお囃子の音が聞こえてくる。秋祭りの季節らしい。夕方には近くの神社の境内で出店が出ていた。
バス通りから一本入った裏道に町内会の人たちがはっぴを着て集まっていて、共同の倉庫の扉が開いていた。神輿があった。

祭りというと出店、焼きそばというイメージしかないけれど、村があり、人の集まりがあったと再び知らされる。そろそろ町内会に入らなければならないのかな。

今バーや飲み屋で出来たコミュニティーが町内会の代わりをしているのだろうか。

10.01.2009

ジャズバー@RTM

Dizzy'sというジャズバーがある。仕事のあと久しぶりに行ってきたらジャムセッションのライブが行われていた。プロやら学生やらが次々と入れ替わりながら一つの音楽が続いていく。フリースタイルといえば良いのか、一定のリズムを背景に各楽器が好きなように音の層を加えてゆく。トロンボーン、トランペット、サックス、ドラム、ベース、キーボード、コンゴ、カウベルなどなど。そしていて、どうやって決めているのかわからないけども、ある時点で突然バラバラだった音がひとつになったり、同時に音を止めたりと、息がピッタリと合っている。例えがよいかわからないけども、なんとなく魚の群れをみているような感じ。一定の波の下、それぞれ好きなように泳いでいるときもあれば、ある瞬間とつぜんひとつの固まりになって伸びたり縮んだりする。そしてまたパッと散る。

聞いてる方も楽しいが、ジャズは演奏している側のほうがもっと楽しんでいるようにみえる。ずっと昔、ほんの一瞬だけトランペットを弾いていたことがある。もし今も続けていて、フラッとこういったステージに参加出来たらさぞ楽しいのだろうなと思いながら聞いていた。

第一次世界大戦終戦のころから徐々にヨーロッパに持ち込まれたジャズだが、そのファンの層はヨーロッパでも根強く、毎年ロッテルダムで夏に行われる北海ジャズフェスティバルにはヨーロッパ中のジャズファンたちが集まる。