毎年1月末になるとロッテルダムはにわかに賑やかになる。
今年で38回目となる国際映画際が現在開催中で、約10日間の間500本以上の映画が市内の映画館など8カ所で上映される。なにげにヨーロッパ三大映画祭のうちのひとつとも言われ、カンヌ、ベルリンと並び欧州では有名で、特に実験的映画やアジア映画が多く上映されることでも知られている。今年はオダギリ・ジョーの初監督映画「さくらな人たち」の初上映がこの映画祭で行われる予定。(チケット売り切れ。。残念)この他北野武や是枝裕和監督作品など日本映画がけっこう上映されている。
映画祭に合わせて市内のいくつかの建物の側面には映像が映し出されていて、これが単純ながら意外に効果的。もし東京国際映画祭の開催中、都内すべての電光掲示板で映画が上映されてたらさぞ最高だろうなと思う。あのブレードランナーのワンシーンのように。
「アキレスと亀」北野武監督作品を昨日見た。好きだからただひたすらアートをやり続ける人、だけどぜんぜん世間から評価されないまま時が過ぎてゆく。一緒に見に行った同僚たちの評価は賛否両論だったけど、「誰でもピカソ」というテレビ番組のホストとしての顔をもつビートたけしだけに、個人的にはこの映画はあの番組の過去の出演者に対する彼なりな見解、またはメッセージのように思えて面白かったかな。
返信削除石橋今日美監督の「スパイダー」という携帯電話のビデオ機能を使ってとられた115分の長編映画が出展されているらしい。
返信削除携帯電話で撮られた映画を集めた映画祭も開催されているそうで、実験的な試みなのだけれど、あまりしっくりこない。
ゴダールが「勝手にしやがれ」で撮影カメラを台から外しハンディで撮ったとき、フィルムではなくビデオを使った「ブレアビッチプロジェクト」が出てきたときは世間に衝撃を与えていたようだけれど、携帯電話で映画を撮るってここまで来たかという感じ。
これは、極限までの映像の美しさとかCGの精密さとかリアルの再現の逆の方向で、「リアルに再現する」ということは映画の必須条件ではないということは理解してはいるが、ただ遠くにいる人と話もでき静止画も動画も撮れる携帯電話というハイテクなツールで低解像度の映画を撮るという意味合いを咀嚼できずにいる。