2.04.2009

第6のファサード;天井 @TKY

建物の顔としての面をファサードという。

道に面している外壁が一面であとすべて近接して他の建物があったとしたらひとつのファサードだけ注意深くデザインをすれば良い。

テレビ朝日の設計者は、四周の他の高いビルで囲まれてよく見られてしまう屋上を第5のファサードと名付けた。


高層の建物は天井がよく目立つ。
特に夜建物のアウトラインが消えると規則正しく並べられている蛍光灯照明が浮かび上がる。
天井のデザインは建物の顔として第6のファサードとして重要度を持ち始める。
規則正しい照明の配置は部屋の明るさを均質に取らなければならないという考え方から来ている。
合理的ではあるがあまり面白くはない。
通常の仕事の場合机上
照度500lx程度で偏りの少ない照明が必要とされているけど、もう少し変化があってもいいのではないだろうか。
思索にふける場所は暗くとか。アプローチの部分は足もとに光を走らせるとか。LEDを輝かせて明るい感じを演出させるとか。
(光を表現する日本語はとても少ない)

いま日本ではコンビニもスーパーもオフィスも家も空間の光の質が同じで変化に乏しい。コウコウと明るい。
ロッテルダムにいるケイゴが一時帰国したときに日本は明るいから下手な服を着れないと洋服を買いこんでいたことを思い出した。

5 件のコメント:

  1. 確かに毎回日本に帰るたびに意識させられるのは屋内の強烈な明るさ。煌煌と照らされる蛍光灯の光の中に降り立つたびに自分が急にくすんでしまったような恐怖を感じてしまう。普段RTMでは気がつきもしなかった顔のシミやホクロ。真っ白だと思い込んでいたシャツの黄ばみ。常にスポットライトをあてられているような気まずさから暗闇を求めようとする衝動に駆られてしまう。この間帰国して驚いたのは、自分が日本で見る月や星の光さえも強烈に明るく感じたこと。一年のほとんどが曇りか雨のオランダでは月や星を見た記憶がほとんどない。
    話が逸れてしまったけども、日本では必要以上に明かりが清潔、安全、といった概念と結びつけられていると思う。不夜城の東京では大切なことかもしれないけども、蛍光灯による都市の占領は空間の差異を漂白し均一化する。都市のシミやホクロを浮き彫りにし、消し去ろうと企てる。サーチライトをあてられたくすみは闇を追い求め、隙間深くに身を隠す。明暗の二極化が生み出す都市像は結果として都市の抱える問題をさらに深いものにしているような気がする。これは意外と東京だけの話ではなく、パリでは数年前に中世から残る地下空間を若者が無断で占拠してたのを検挙しているが、独自の映画館やバー、住まいや集会所といった施設を含む社会が出来上がりつつあったと新聞が述べている。これはNYの地下にも共通する話題。ベルリンで最近有名なのは金曜の夜から月曜の朝までぶっ続けで営業しているクラブやバーで、一切の外界の光を遮断し昼も夜も土曜も日曜も関係ない闇の空間が人気を集めている。あらゆるSF映画が都市の未来像として描く地上の世界と地下の世界の対立する姿は実はすでに蛍光灯の大群によって現実化されつつあるのではないだろうか。「蛍光灯ウォーズ・底国の逆襲」みたいな。

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  2. 地下占拠、暗黒バー、蛍光灯ウォーズって。
    すごいな。
    東京都が省エネの観点から白熱灯一掃キャンペーンをしているので蛍光灯はどんどん増える傾向にある。建築設計者としてメンテナンス、ランニングコストを考慮すると第一候補に蛍光灯が挙がってきてしまう。ランプ寿命と消費電力が他のランプと全然違うから。空間の雰囲気を確保するのかと維持費を安くするのかでジレンマを抱えている。
    逆に蛍光灯バーとか全く人が入らなそう。蛍光灯を憎んでいる女の人もいるし。

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  3. パリの地下空間って、ユーゴーの「レ・ミゼラブル」でジャンバルジャンが逃げ回ったり、娘の恋人を背負って連れ帰ったりした下水道網のことだね。(一言にしたらいろんな情報が削ぎ落ちた)ますます興味深い。裏公共空間、メタパブリックとでも言うのだろうか。

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  4. ジャン・ピエール・ジュネの「ロストチルドレン」とかエミール・クストリッツァの「アンダーグラウンド」とかそんな世界観の映画だったね。
    ヨーロッパ人(フランス人だけかも知れないけど)の意識の根底にパリの地下空間って大きく横たわっているのかな。

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  5. コメントに書いたパリに関するニュース。 http://www.nippon.fr/culture_jp/underground_society.html

    GSDにいた際にとったレムのスタジオはソウルが敷地のプロジェクトだったけど、主に世界の地下空間利用についてリサーチをした。洞窟や採掘場などを除いた意図的な地下空間建設が本格的に行われだしたのは第二次世界大戦後の50年代から80年代のアメリカ。冷戦中で核戦争に陥ることを想定してかなり多くの地下空間(主に軍事施設、ミサイルサイロ)の建設が行われた。その後80年代から90年代にかけてはヨーロッパでの地下空間利用が盛んになる。主に文化施設の拡張およびに歴史的建造物/景観の保存のために、地下空間の需要が高まる。ルーブル博物館などが良い例。そして、90年代後半から現在にかけてはアジア。動機のほとんどは地上空間の高密度化による新たな面積の確保。プログラムのほとんどは商業(エンターテイメント)で、日本はもちろんのこと最近ではソウルのCOEXモールが面積8万5千平米でアジア最大の地下ショッピングモールとなっている。軍事=アメリカ、文化=ヨーロッパ、商業=アジアと、地下空間の利用法を分析するだけで自然とかく地域の特性が浮き彫りになってくるということは、それだけ地下空間があらゆる地域において常に最重要事項のための受け皿として利用されているということを示していると思う。東京では地下利用の法律改正によって最近はインフラの大規模拡張が盛んになっているが、果たして大深度空間利用はさらなる発展を見せるのか楽しみ。

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